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いつも無関心だったはずの私が、感情的であることに驚きがあったが、今は全く意識の範疇にはなかった。
彼の口から散布したのは正しく血である。
身体中が血塗れで、もはや彼の命は風前の灯そのものだと誰が見てもわかる惨状に、私は感情を抑えずには居られなかった。
「アルク様、私の―――」
思いきって名案を口にするも、それは彼によって止められた。
彼は私の身を案じているのだろう。
それが逆に、私を傷付けているのをこの方はわかっている。それでもこのような仕打ちをやめてはくれなかった。
「それは愚案だな。――ゴホッ……」
あっさりと一蹴し、咳き込む。
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