開かれる夢の彼方

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「文華、このサラダ、もしかして蒸してある?」 「え? ええ。そうだけど……口に合わなかった?」 文華がオドオドしながらこっちを見つめる。 心配するな。これは、マジで美味い! 「めちゃくちゃ美味いよ!」 「本当!」 実に大した奴だと言っておこう。 野菜などは一度蒸すと、歯ごたえがシャキシャキするだけでなく、野菜本来の甘味が増すのだ。 次にウインナーを箸で掴む。そのウインナーは可愛いくカットされたタコさんウインナーだ。 タコさんウインナーを見つめながら俺は文華に、 「このウインナーもそうだけど、どの料理も凝ってるな。まるで最初から"誰か"に食べてもらう為に作ったみたいだ」 あくまで認めない文華に、タコさんウインナーを見せつけながら意地悪に言ってみる。 「うーー!」 唸りながらこっちを睨み付けてくる文華。けど、あんまり怖くない。 「あーくん。あんまりふーちゃんを苛めちゃ、メ! だよ」 そう言ってる淺野はやっぱりニコニコしてた。 「悪い悪い。ついな」 「うーー! 暁人のくせに生意気!!」 少し悪ふざけが過ぎたか? そろそろ蹴りが飛んで来る気配がしたのでここは一旦、気を取り直して、次は淺野の料理を摘むことにしよう。 「淺野の弁当も摘んで良いか?」 「うん。どうぞ~」 お言葉に甘えて、この春巻きを頂くことにしよう。
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