開かれる夢の彼方

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この男の名は東堂霧彦〈とうどう きりひこ〉。 残念ながらコイツも小学校からの付き合いだ。 一八十センチの長身に、刈り上げた短髪。何より、ムキムキと鍛え抜かれた筋肉が自慢らしい。 小学生の時、文華に何かされたらしく、その時から文華の下僕になることを勝手に誓ったとか。 文華はドン引きしてたけど。 実はこの男、かなりの変態でその理由というのが―― 「文華様は今日もお美しい……。暁人、隣に住んでるからといって文華様に変なことをしてないだろうな?」 「してないって」 「本当か? 文華様に踏まれたり、罵られたり、鞭で打たれたり、そんな羨ま――ゴホン、羨ましいことされてないのか?」 「今、言い直そうとしてやっぱり本音言わなかったか?」 「仕方ないだろう!? 羨ましいのだから! 俺も踏まれたい!!」 「俺は踏まれたくない!!」 今朝、鳩尾に膝を埋められたのを思い出してしまった。 とにかくこれが、俺がコイツを変態扱いする理由だった。 文華に虐げられることに喜びを感じているらしい。全く持って理解不能だ。 「お前ら! 席に着け!」 いつの間にやら担任が教卓の前に現れていた。どうやら、気付かぬ内に予鈴が鳴っていたらしい。
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