開かれる夢の彼方

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高台に建てられた龍焔寺学園の屋上からの景色は本当に眺めが良く、住宅街から少し先にある海辺が良く見えた。 見晴らしの良い場所で、みんなと昼飯を食べる。文華の目的はそれだろう。なかなか粋な事を考える奴だ。だがしかし、俺には景色よりも切実な問題があった。 「景色は良いんだけどさ、俺まだ飯買って来てないんだけど……」 「大丈夫よ。ちゃんとココにあるから」 そう言って、手元にある大きな包みを見せる。 「え、これって……もしかして俺の為に!?」 「ばっ、馬鹿! 何勘違いしてんの! これは……あ、アレよ!」 「どれ?」 「昨日の夜、作り過ぎちゃったのよ! その処分をアンタにも手伝ってもらおうと思っただけよっ!」 顔を真っ赤にしながらそんなことを言う。 そこへ淺野がニコニコしながら注釈する。 「あーくん。ふーちゃんがね、いつも買い食いばっかりで栄養取ってないって言って、昨日一人で……」 「し、翔子!? なに変なこと言ってんの! そ、そんなんじゃないんだから!!」 淺野はテヘヘと言いながら舌を出す。 俺は文華がしてくれた優しさに胸をじーんとさせながら、感謝の言葉を口にした。ちょっと目頭が熱くなったのはバレていないと良い。 「文華……ありがとな」 「……ふん」 文華は顔を横に背けてしまった。でもどこか嬉しそうだった。 「文華様、俺の分は……」 どさくさに紛れての質問は、見事なまでに黙殺されていた。いつもの微笑ましい光景だ。 「じゃあ俺、飲み物買って来るよ」 せめてそれぐらいはしようと思い、そう言って立ち上がると、文華が大丈夫と言って制した。 すると、屋上の扉から一人の小柄な男子生徒が入って来た。
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