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智美が俊之を意識し始めたのは、俊之の果敢なアプローチがあったからだった。
転職初日、応接室に通された智美は緊張していた。
「遅くなってすみません!」
勢いよくドアを開けるのと同時に、大声を上げて青年が入ってきた。
緊張の為か、足音にすら気付かなかった智美は驚いて青年を振り返った。
「完璧遅刻ですね。お待たせしちゃって本当にすみませんでした。」
申し訳なさそうに謝罪する青年を見て、智美の緊張は一気に解けていった。
「改めまして。私は北条俊之です。宜しくお願いします。」
俊之は、笑顔で名刺を差し出した。
智美は、俊之の差し出した名刺を受け取り、慌てて自己紹介をした。
「安井智美です。こちらこそ宜しくお願い致します。」
深々とお辞儀をする智美を見て、俊之の笑顔は益々深くなった。
「これから私が安井さんの指導係になります。分からない事は何でも聞いて下さい。」
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