愛蘭学園

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外門と呼ばれる門を潜り、転入の挨拶をする為にまず理事長室に向かう。理事長とは会議室のようなところで転入試験を受けた際に挨拶をした程度で、実際にちゃんと会うのは今日が初めてだ。 門から校舎に向かって50mほど歩いて私は立ち止まる。さすがにセレブ学園なだけあってこの学園はすさまじく広い。 そもそも門のところに守衛さんがいること自体普通の学校ではあり得ないだろう。 そして門を潜って左側に小川が流れていることもツッコミどころだが、その上に橋がかかっているのは何故だろうか…? 敷地内に小川や橋があるレベルだ。 そもそもさっきの運転手の向井さんの話しだと、転入の手続きがなければ内門まで車で行っていることになる。おそらく他の生徒たちも内門までは車で行っているんだろう。 そこを歩いて行こうとしているんだ。 そして何故外門から内門まで真っ直ぐ大きな道を造らなかったんだ?すでに道が2つに分かれている…みんな車で来るとは言え、これは内門までのルートが複雑過ぎるのではないか。 見渡す限り緑、緑、緑だ。何故外門から内門までが森のようになっているんだ。迷わせようとしているようにしか思えない。 無駄に広い。恐ろしく広い。とにかく広い。どこまでも広い… 優「…迷った。」 ここは一体どこだろう…? やはりさっきの道を行くべきだったか…こんなに森のようになっていては方向感覚がなくなるのは当たり前だと思うのだか… なんとなく校舎らしきものが見えているはずなんだが、なかなか辿りつけない。道が複雑過ぎる。そして遠い。そして広い。 そんなことを思いながらとにかく進んだ。 キョロキョロしながら校舎らしきものを目指して進み続ける。そんなこんなで15分程歩いてようやく門らしき場所に辿り着いた。おそらくこれが内門と呼ばれる門なのだろう。 結「疲れた…。」 何故校舎に辿り着くだけなのに、こんなに疲れるんだろうか。 だいたい外門から内門までが長すぎる。なんで学園の敷地内に森なんて創る必要があるんだ。小川と橋は必要なのか。登校してくるだけなのに、無駄に疲れた。 とりあえず中に入る為に内門へと近づく。 キョロキョロ周りを見渡していると、内門のすぐ脇に小さなドアを発見した。おそらく関係者の通用口といったところだろう。 すると、急にそのドアが開き、中から誰か出て来て唐突に話しかけられた。
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