愛蘭学園

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ちなみに、咲良は私の一つ年上の幼馴染だ。 松雪咲良(マツユキサクラ)。私と咲良の親同士が幼馴染らしく小さい頃から良く遊んでいた。今でも仲良しだ。 愛蘭学園に来た理由の1つは咲良がいるからだ。 咲良は可愛いというよりは美人だ。 綺麗な上に性格は明るくて、美人なのを鼻にかけるようなことは絶対しない。身長も167㎝と高くスラッとしたスタイルを活かして、モデルの仕事をしている。 とても魅力のある私の自慢の幼馴染である。 理「ハハハッ…ざっくりと説明するところが咲良らしいな。だいたいの事情は咲良から聞いているよ。大変だったようだね、辛かったろう…。ここには咲良もいるし、何も不安に感じることはない。困ったことがあったら何でも相談しておいで。」 そう言って、理事長は私にまた微笑んだ。 結「ありがとうございます___ そんな風に言っていただけるなんて嬉しいです。 あの……ということは、その…理事長は私の素性をご存知なのですか?」 私は恐る恐る聞く。 理「もちろん、聞いているよ。でもそのことは唯子以外の教員にも伏せているし、他に知っているのは私と咲良だけだ。ほかにバレる心配はいらないよ。結菜くんは何も心配する必要はない。結菜くんは咲良の大切なお友達だ。安心してくれたまえ。」 そう言って、理事長は優しく、微笑んだ。 咲良、理事長に事情説明してくれてたんだ…。 というか…唯子さんも私の素性知ってるんだ…。 唯子さんって何者なんだろう… まだ唯子さんをよく知らない私にとっては少しの不安がよぎる… 理事長と咲良しか知らない事情を説明してるってことは唯子さんはそれだけ信頼出来る人ってことなんだろうけど… 元々私自身、大きな秘密を隠したまま学園生活を過ごすには不安が大きかったし、咲良がいるとは言え、素性を隠していることへの不安と罪悪感に押しつぶされそうだった。 そんな中、学園の理事長が私の事情を理解した上で、素性を隠したまま転入することを受け入れてくれていた…この事実は私にとってはプラスでしかない…本当に感謝しかない… そもそも素性を偽って入学すること自体に問題があるんだが… 結「…このような形での転入となり申し訳ありません。転入を受け入れてくださり、本当にありがとうございます…!よろしくお願い致します!」 そう言って私は深々と頭を下げた。 理事長の優しさに涙が出そうだ…。 理「頭を上げてくれたまえ。畏まる必要はない。言っただろう?結菜くんは咲良の大切なお友達だ。私も咲良と同じ気持ちだよ。結菜くんが来てくれてとても嬉しいんだ。落ち着いたらあとで咲良と話すといい。わからないことがあれば咲良や唯子に聞けばいいからね。」 そう言って石倉理事長は微笑むと、私の頭をポンポンと叩いた。
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