出会い

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理事長室を出た結菜は、また長い長い絨毯の敷かれている廊下を戻りエレベーターに乗りこんだ。 そして、1階のボタンを押す。 エレベーターが1階に辿り着くまでの間、結菜は先程理事長に言われたことを思い出す。 結「…素晴らしい学園生活か………。 そうなればいいな………もうあんな思いしたくない…………」 誰もいないエレベーターの中で結菜はそんなことを呟いた。 そして、チンッ!という音と共に、エレベーターが1階に到着た。 エレベーターの数十メートル先で唯子さんが壁にもたれかかるようにして待っていてくれた。 結「…唯子さん!!お待たせしてすみません、」 唯「…あっ!葉山さん!やっときた!!もう待ちくたびれちゃったよ~~…まったく理事長ったら話し長いんだから~~!」 そう言って唯子さんは理事長の文句を言いながら手を腰に当てて怒っているふりをする。 ほんとに美人で可愛いらしい人だなぁ…と結菜は思った。 結「あっ…唯子さん…理事長にこのあとの動きについて唯子さんに説明を受けるように言われたんですけど………」 唯「えぇ~~!理事長から説明受けてないの~?全く理事長ったら!!何でも私に振るんだから…!でも…もうすぐ全校集会始まっちゃうから体育館に移動しながら説明しよっか!ついてきて♪」 結菜が返事をすると同時に唯子さんが歩きだす。唯子さんと並んで結菜も歩く。 理事長の文句を言いつつも、そんなに嫌じゃなさそうなのは気のせいだろうか…? そして歩きながらこのあとのスケジュールについて説明を受ける。 唯「理事長ってね、普段いろんなところを飛び回ってるからあんまり学園にいることはないんだけど…今日は葉山さんの転入の紹介をする為に特別に集会を開く!って言い出して…さすがにそれだけの為に全校生徒集める訳にもいかないから…普段は生徒会主催の集会でやってる、行事を合わせてすることになったのよ。全く理事長ったらいつも急なんだから…」 …と、唯子さんは小さくため息をついた。 転入生を紹介をする為だけに全校集会開くって…いいのか、そんな理由で集会開いて…!? でも気持ちはすごく嬉しい…。 ほんと理事長って不思議な人だなぁ… でもいつも理事長に振り回されながらも、ちゃんと対応している唯子さんはやっぱりいい人だなぁ~と思った。
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