胡蝶の夢

輿入れ

まだ女学生だということは問題でもなんでもない。

女学園を卒業するまでに良家の子女はあらかた嫁に行ってしまう。

それも美しい者から早く学校を去っていく。

だから自分にも話が来てよかったと思う半面、仲の良い友人のいる学校を辞めなければならないかと思うと辛かった。

｢お相手の殿方はそれはもう立派な家柄の方よ｣

母鶴子はよかったわね、とにこにこ顔だ。