はじまり

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「ようこそ遥奈様、私共の料理はお口に合いませんでしたか?」 優しく微笑むその男性は、岐槻シェフだ。 「すみません、考え事をしていました。いつも美味しく戴いております」 「恐れ入ります」 「本日のデザートは?」 「イチゴのスフレになります」 「そう。 …2つお土産に戴けます?」 「かしこまりました」 食事を終えると、私は車に戻る。 会計はいつも司がやってくれる。 もちろん、父のカードを預かっているから。 会計を済ませた司は、お土産と共に戻ってくるなり、私にタバコを差し出す。 いつもの動作に、慣れてしまった私。 最初は戸惑ったりしたな~と、タバコをふかしながら思ったりする。 窓の外を見ながら、流れる景色をただボーッと見ていた。
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