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季節は夏、草木は自分に多くの日光を浴びようと、よりいっそうの成長を見せる時期。自然溢れる季節に、いま真逆の性質を持つ者達が森の中を進んでいた。
本部からこの度お呼びの掛かった第7輸送派遣旅団、以下2494名は基地建設のためガリアス森林を南に進軍していた。
指揮官は村田中佐。
今年で29になる中佐にしては若い人物だ。
部隊は戦車、装甲車両、輸送トラック。特に輸送トラックは基地建設のための資材運搬に九百台以上の数がかり出されていたため、恐ろしく長い行列ができていた。
その中のひとつの輸送トラックに乗った村田は激しく隙だった。
この村田という人物、かつて銀翼機士団に入隊し、稀に見るlev,4の実力を持つ若者だったが、ある戦争をきっかけに銀翼を剥奪されてしまい、何とか総司令のおかげで大尉になれたのだが、前線から引き離され回ってくるのは輸送任務か残党の駆逐。
だから
「暇だ~~。」
彼は暇だった。
この時までは……。
ーーーーーーーー
「……💤 ……💤」
「村田中佐。…村田中佐!!」
「……ンッ……(寝む顔)…なんだ?」
村田の目に部下がうつる。
「緊急事態です!異常なほどの濃霧が我が部隊を囲むように発生しています!」
「…なに?本当か!」
ガバッとシートから起き上がり、外を見る。
外はいつのまにやら濃霧が発生しており、三メートル先はなにも見えない。
村田は慌てて時計を見る。『1708』定時通信からまだ少ししかたっていない。
今の時間帯にここの気候と場所でこんな濃霧が発生するのは有り得ない。
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