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帝国を危機より救った二人の勇将を称える賀宴の翌日、帝国政府は北方戦役に従軍した将兵の論功行賞を明らかにした。
北面軍司令長官カール・フォン・クロイツ大将は騎士(カヴァリーア)よりハルデンシュタイク伯爵に叙されると共に、金剛石付金鷲剣十字大勲章を授与される事となり、当代の武官の内には並び無き光栄に浴した。
北方鎮撫軍を率いて見事にザンフトヒューゲル防衛を為し遂げ、四海に名高き敵将エカチェリーナ・ミハイロヴナ中将を打ち破ってみせたアレクサンドル・エーベルハルト・クロプシュトック中将は近衛師団長に栄転し、カール・フォン・クロイツと並んで金剛石付金鷲剣十字大勲章を授与される事となった。
また同時に、戦勝報告の折り皇帝フリードリヒ・ヨーゼフ三世より約された一生分の葡萄酒も下賜される事が公表された。
勲功第一の両名に続き、ガイエルシャンツェ要塞防衛の指揮を執り大公国軍本隊を釘付けにしてみせたクープフェルバッハ伯爵クレメンス・フォン・タクシス=レッヒベルク中将へ金剛石付金鷲剣十字大勲章、ヴァルター・シャイデマン中将には紅玉付柏葉剣十字勲章と煌びやかな装飾の帝室紋章入り短剣の授与が定められた。
佐官での勲章授与者は百名余りに登ったが、無論その中にはエリザベート率いる槍騎兵連隊の将も含まれていた。
連隊長エリザベート・フォン・メルゼブルク大佐は、敵将エカチェリーナ・ミハイロヴナ公を打ち倒した武勇を称えられ、金鷲勲章を授けられると共にシュタイエンマルク公爵へ叙され、由緒あるシュタイエンマルク公爵家の名跡を再興する事となった。
槍騎兵連隊の斬り込み隊長として勇を競ったキルフェヒルト・ヴォルフラム・フォン・ローゼンベルク及びディートリヒ・ブラウンシュヴァイク両少佐は二級柏葉十字勲章と金銀の象嵌で草花が描き込まれた鞍の授与が決まった。
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