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午餐を終え褒賞式典が幕を閉じると、有功の士らは三々五々自らの屋敷への帰途へと着いた。
カールは車輪の意匠の家紋が銀色に輝く馬車で(銀紋馬車は騎士や帝国騎士階層の乗用馬車である)
部下や兵士達への饗応と大酒飲みの為に俸給を使い果たすアレクサンドルやブラウンシュヴァイク少佐ら一将校に過ぎない人々は御者を召し抱えるゆとりも無いから宮内省の四頭立て典礼馬車で、
中将のクレメンス堅牢伯、エリザベート、キルフェヒルトら上級貴族出身の武官は召し抱える御者の操る金紋輝く馬車で宮殿を出立した。
カールとアレクサンドルは市内のホテル〝アップフェルバウム・ガルテン〟にて催される士官学校の同期による祝賀会へ、キルフェヒルトとエリザベートは近しい親族が肩を並べて叙勲に与ったという事でキルフェヒルトの屋敷で行われる身内を集めての細やかな宴へと、宮殿を出たその足で大礼服のまま赴いた。
キルフェヒルトの屋敷には、同じ連隊の宜みもあって壮年の勇将ディートリヒ・ブラウンシュヴァイク少佐の一家も招かれていたが、これは、キルフェヒルトの母、ジークリンデの計らいによるものであった。
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