本編

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 ◆ 「はーい、次の目的地に到着ー」 「マジでスルーしやがった……てかここどこよ?」  まぁ、妹の無事を今は信じるとして。ここは住宅街の路地か? 「次の目的地まで120メートルの地点です。勇者さんにはそこで装備を整えてもらいます」 「装備を? と言うか俺、風呂場に入ってた恰好のままだし!? なぜか腰巻だけはあるけど……」 「サービスですよ。サービス。さすがにそれがないと変質者ですからね」  いやこの状態も充分変質者だぞ……しかも夜中に裸は寒い……俺勇者だよね? 「ある意味勇者じゃないですか」 「そう言う事を言わせたかったんじゃねぇよ。と言うか装備って……」  文句を言いつつも俺はスタスタと前の道をまっすぐ歩く。いやだって、行くしかないし。 「そう言えば魔王ってどこにいるんだ? 魔界とかか」 「いえ、この町内です」 「近っ! 近いよっ! 魔王なのにそんな近くにいていいのっ!?」 「えー、だって遠いと。この話短編で済まなくなるじゃないですか」 「またメタ発言キタコレ! もうツッコまねぇよ? もうスルーで行くよ?」 「あ、目的地に着きましたよーっ。ここで装備やアイテムを整えましょう」  おぉ、もう着いたのか。だけどこんな近くに武器やとか道具屋とかあったっけ? 妖精が指し示す方向を見る。 「って……ここコンビニ?」 「はいコンビニです」 「……俺にここに入れと?」 「はい」 「金もないのに装備を整えろと?」 「はい」 「ここ友達が幼馴染がバイトしてんだけど、このタオル一丁で入れと?」 「はい」 「いや待て待て待て待ていっ! 俺ここに入る資格、何一つも持ち合わせてないよね? それどころか通報されるレベルですよね!?」  ……。俺と妖精の間に無言が通り過ぎる。 「うーん、まぁカラーボールぶつけられる程度で済むんじゃないんですか?」 「それって程度で済んでねぇよ! もう明らかに通報五秒前だろ!」 「いやですけどカラーボールが体に当たれば。『あ、これボディペインティングなんで』って誤魔化せるじゃないですか?」 「いーやいやいや、誤魔化せてないよ? だからと言って往来でタオル一丁でいていいはずがないよ!?」
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