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「まぁまぁ、それでも売ってくれますって。コンビニエンスの意味知ってます? 便利って意味ですよ?」
「だから何!? 便利だからと言ってなんでも許容してくれるってわけじゃないよっ!? ほらこっちを必死で見ないようにしてる中の店員の顔みてみろよ。明らかに『うわー、こいつ入ってきたらどうしよ……』な顔してるよ。てかあいつ俺の幼馴染っ!」
「じゃあ、大丈夫なんじゃないですか。ほらとっとと行く」
ドンッ、と以外にも強い力に押され。コンビニに強制入店させられる俺。うわわわわ。
チャララン、チャララン。コンビニ入店音が鳴り響く。
「いらっしゃ……ってません。うん」
「俺の来店自体をなかったことにした!? てか違うんだ。これには訳が……」
「バイト面接でしたらすみません……今日、店長が不在でして」
「何で俺をバイトの面接に来た人として認識したの!? こーんな格好でバイトの面接来るやつっていんの!? てか敬語やめてーっ!」
あぁ、もういやだ……。何でおれがこんな目に。幸い他のお客さんがいなかったからよかったものを……いたら通報沙汰だったぞ。
って、ん……? ちょっと待てよ。いくらなんでもコンビニの店員が幼馴染一人ってことはないよな。大抵もう一人は品だしかなんかしてて、ほら丁度そこの総菜コーナーの前で立っているお姉さんが、今懐から携帯を出して三ケタの電話番号を……ってぇ!?
まずい、まずいよぉ!? このままじゃ俺、問答無用で連れてかれるよ!? 言い逃れしようのない現行犯逮捕だぞ! あわわわ、これは何て言えば……。
「あ、店長! すみません。こいつ私の幼馴染で。これはあの……ボディスーツです!」
なっ、幼馴染……お前。……庇ってくれるのはいいけどもちょっとマシなごまかし方はないのか?
「なーんだ、ボディスーツかぁ。びっくりしたなぁ、もぉ」
しかも店長、それで納得しちゃったよ……。もう携帯しまって商品並べる作業ん時戻っちゃったし。……まぁ、なんにせよ。
「た、助かったぜ……ありがとな」
「べ、別にあんたの事を助けたわけじゃないんだからね。あっ、あんたが捕まると幼馴染である私の評判も悪くなるから誤魔化しただけなんだからね」
あぁ、いつものこいつだ……。ちょっとツンとかデレが入ったこいつこそ、俺の幼馴染。
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