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「って、いやいや終わらねぇよ!? てか、お前もそこは夢じゃありません、って否定するとこだろ?」
「えぇ~……だって、風呂入ってたら妖精が現れて、あなたは勇者ですって。そんなの現実であるわけないじゃないですかぁ~」
「目の前の非現実的な現実にそんなセリフを言われるとは思わなかったよ。てか夢じゃないのは分かったから。早く先に進めて」
宙に浮く妖精は「そんな身も蓋もない……」と呟きながら飛び回る。いやー、しっかし妖精なんてリアルで初めて見た。けれどリアルで見てるのに、外見はゲームの姿そのものってのも変な感覚だな
「さて、もうぱっぱと単刀直入に言いますと。この世界は窮地に立たされています。それは魔王と呼ばれる存在のせいで、勇者であるあなたには其れを倒してもらいます」
「おい待てよ。俺が勇者だって? そんなのだれが決めた」
「作者です」
「まさかのメタ発言!? いや、そうじゃねぇよ! こういう場合はあなたは神に選ばれたのですとか言っとけばいいの!」
そしてTAKE2。
「あー、はい。分かりました。……ではコホン。えー、あなたは縁結びの神様によって選ばれたのです!」
「何でそこでその神様チョイスした!? おおよそ、一番戦いから遠い神じゃねぇか? それ」
「いいえ、かの神は恋愛競争と言う過酷な闘争を支援する……」
「そう言うのいいから! もっと真面目にやりなさい、真面目に!」
TAKE3。
「えーっと、それっぽーい、神様から選ばれたんですよぉ」
……棒読みに聞こえるが気にしないでおこう。
「えっ、だけどそんな……そんなの俺には無理だ」
「いやぁ、君才能があるって、うん、絶対なれる。初心者も大歓迎だよ」
「ちょっと待て。なにその部活の勧誘? まぁ、スルーしといてあげるけど」
「ありがとーございます。まぁ、そういうわけでどうか勇者となって魔王を倒してください。お願いします」
「うーん、あー。そんなに言うなら……そうだな。やってみようかな」
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