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「ちょっ、タンマ! モンスターって何!? そして俺丸腰なんですけど!? 装備してないってレベルじゃなくて、本当に丸腰なんですけどぉお!?」
「だいじょぶですよぉ。ほらちゃんと『熱いココロ』を装備してるじゃないですか。……まー、装備してても効果のないアイテムですがねー」
うぉぉおおおい!?
「ではいきますよ。モンスターの入場です」
「うぉぉおお!?」
もうこうなったらやけだ。バスタブの中で立ち上がりファイティングポーズを取る俺。来るなら来いよ……。
俺が意気込んで待ってると、風呂場の扉がコンコンとンックされた。
ノック? とは思ったが、もしかしたら扉をあけるのに手間取っているのかもしれないと思って、油断せずにかまえはと家内。そして数秒後……扉は開け放たれた。
「お兄ちゃん、ボディソープ切れてたから交換しに来た……よ?」
そしてそこから現れたのは……オーノー、なんと我が麗しの妹じゃありませんか。これがモンスター? いや、なわけないって。
「――。」
「……。」
無言で見つめ合う二人。俺の目には無言で風呂場の戸を開けた姿勢のまま固まっている妹が映っているが、我が妹の目には風呂場でプロレスラーの様な奇妙な姿勢の俺が移っているだろう。そして妹の視線は段々と下にスライド。俺は少しずつ下半身を湯船に入れつつ。横目で聞く。
「……うぉーい、これはどういうことですか?」
「あれ、おっかしいなぁ……台本と違うよ? ねぇスタッフ、ここ台本と違うよ?」
誰と会話してんだよ……。
「お兄ちゃ……ん」
おっと、俺は妹ともこの問題を話し合わなければならないんだった。
「あぁ、なんだ妹よ」
「私……ノックしたよね?」
「イエス、ユー、ドゥ」
なぜ英語なのだろう。自分でもわからない。
「ならなんで、ちょっと待ってとか言わないの? なんで前隠さないの? なんで身構えてるの?」
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