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「いや、まて妹よ。これには深ーいわけがあってな」
「深いわけ? もしかして、そこの隣の妖精と関係があるの?」
「おぉ、そうなんだ! おい妖精。お前から説明してやってくれ」
秘儀、『丸投げ』である。いやだってもう、こういう弁解って当事者であり男である俺がするより他人に任せた方がいいぜ。さぁ、ちゃんと教えてやってくれよ、妖精。
「えーっと、ですね……あー、そう言えば、私。他の人には見えない設定だったな~」
なんだそりゃ、と俺が突っ込む前に妹の口が動く。
「……お兄ちゃん。なに一人でぶつくさ言ってるの?」
「え!? いや妹! さっき確実にお前見えてたよね!? 設定を聞かされて急にその話に乗ったよね!?」
え、なに悪乗り? お兄ちゃんそんな妹に育てた覚えはありませんよ! 悪乗りは二十歳からですっ!
「妹さん、もちょっと時間稼いでね~。ちょっと上と連絡取ってるから」
「あ、はい了解です~。……お兄ちゃん、覚悟はできてるよねぇ……」
「ちょ、お前ら初対面だよねぇ!! なんでそんなに仲いいの!?」
てか妹の目がマジだ……脱衣所にあった延長コードを片手に握りしめ、今にもコンセントにプラグインしようとしている……。
「落ち着け、なぁ落ち着け妹。おまえはなにもみていな~い。おまえはなにもみていな~い」
「そーだね。お兄ちゃんのあそこなんて何も見てないよ~」
……ははっ、忘れられないほど怒ってらっしゃる……。
「あ、はいはい。分かりました。……妹さーん、もう、そのままモンスターとしてお兄さんに立ち向かっちゃってください」
「了解でーす。……さぁ、お兄ちゃん地獄へ行く時間だよっ!」
ドゥルドゥルドゥルドゥル、ドゥン!
《『妹』が現れた!》
「なぁ、おかしくなーい? これなんかおかしくなーい? 疑問に思ってるの俺だけですかーっ!?」
まさに超展開。なんと妹はモンスターだったのだ。……って、なんだそりゃ! 糞シナリオにもほどがあるわっ! リコール! リコールを要求しますっ!
「この電話は現在使われておりませんので、まぁちゃっちゃと妹さん倒しちゃってください。……私、妹さん側につきますので」
「うぉぉぉう!? 物語が始まって早々妖精が裏切ったぁぁあ!? てか、この状況引き起こしたのそっちの問題じゃん! なんで俺がこんな目に……」
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