第0話《前編》落書き少年。

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第0話《前編》落書き少年。

1, カキカキカキカキ… 本日最後の授業終了まで5分。 教室内は、先生の話し声しか聞こえない。 おそらく、真剣に授業を聞いているか、部活や睡眠不足などで机を枕にして寝ているかのどちらかだ。 そして、僕が「おそらく」という言葉を使っているのは、真剣に 「……………よし、上手く描けてるな」 落書きしているからだ。 「………………だが、まだだ」 落書き専用ノートとマジックで書いたノートに、鉛筆を走らせ景色や人物を描いていく。 「………………次、次、次!」 自分自身で分かる。 とてつもない程、落書きに集中している。 おそらく、先生に答えを聞かれても気付かないぐらい。 落書き専用ノートに、僕の鉛筆を走らせる。 「…………………間に合え!」 時間は、皆に平等だ。 自分だけを待ってくれない。 時は、狭まっていく。 それでも、僕には自信に満ちていた。 この5分という、残り少ない時間の中で…。 小学一年の頃から、学校の授業は落書き一筋。 そんな、異質なベテランである僕には、これしきの難所を乗り越えれる筈だ。
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