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けれど嫌な予感がして
彼はドアノブに手をかけた。
カチャリと扉が開く。
彼は驚いた。
おそるおそる家へと入ってみる。
中は電気もついておらず真っ暗で。
しかしそんな中で何かが目についた。
玄関に落ちていたそれをなんとなしに拾い上げる。
果たしてそれは電報で。
気になり、電報に目を通す。
そうして知るその内容は
自分が死んだのだと……
戦死したのだという通知で。
しかし自分はまだ生きている。
という事はそう……
誤報だった。
彼は迷わず彼女の部屋へと駆け出した。
……ある日を境に途絶えた手紙。
まさか……まさか。
彼は勝手知ったる彼女の家を
暗闇の中
一目散に彼女の部屋へと向かった。
部屋に近付く程に強くなる腐臭……。
そうして部屋の扉の向こうに広がる光景は……
「あ"ぁぁぁぁっ……!!」
ユラユラと
既に肉が腐り
無数の蠅にたかられ
首を吊って死んでいる彼女の姿だった。
彼は泣き崩れた。
部屋には彼女が大事に持っていた赤い鈴と
蠅の羽音だけが響いていた……。
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