別れ

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  ……けれど   世は男尊女卑、軍の取り仕切る時代。   軍の命令は絶対で   男の言葉に女は逆らってはいけない時代。   そんな時代に   私の言葉は何の意味を持つというの……?   言ってもただ彼を困らせるだけ   ……私にはただ笑う事しか出来なかった。   同時に零れ落ちる涙。   彼がそれを見て悔しそうに顔を背けた。   それを見て私は思った。     嗚呼……貴方は本当に優しい人なのだと……。     「どうか無事に帰ってきて」     そんな貴方を困らせない様に私は貴方を送り出す。   精一杯想いを言葉に乗せて。   貴方は私を固く抱き締めて、   くちづけを落として。   そして小さな赤い鈴をくれた。   これを自分の事だと思って   持っていて欲しいと。   私はまた涙を零して   鈴を固く握りしめた。   彼はそんな私の様子を確認すると   そっと微笑んで戦場へと旅立って行った。           それが……私が最後に見た貴方の姿だった。
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