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……ふざけるなよ。ふざけるなよ。何でおいらがこんな目に遭わないといけないんだ!? 死ぬ時まで苦しみと付き合わないといけないのか! ほんとにふざけるな! 何でおいらが苦しまないといけないんだよ! 苦しまないといけないのはあいつらの方なのに! あいつらだけなのに! 何で! 何で! 何で。何で。……何で。……何で。……。……。
……………………。
…………。
……。
……光。
微かに残るおいらの意識がとらえたそれは、確かに光だった。幻覚なんかではなく、正真正銘本物の光。誰だろう。おいらの部屋のドアを開けたのは。そこまでは目が霞んで見えないや。まるで推理パート前のコナンの犯人みたいだ。
お母さん? それともお父さん?
でも、その黒い人の体格は小さい。お父さんどころか、ただでさえ小柄なお母さんよりも小さく見える。そんなお母さんの遺伝子を受け継いだチビなおいらでもチビと言えるくらいだ。ただ単においらの目が正確な情報を読み取れずにいるだけなのかも知れないが。
その黒い小人は、おいらの部屋に入るや否や部屋の北と西に取り付けられた窓を全開にし、有毒ガスの塊をバケツごと窓から放り捨てた。ように見えた。これも目が霞んでいるからハッキリしない。外からバケツが落ち、中の液体がぶち巻かれる音もしたような気がしたが、雨音に掻き消されている上にこれだって幻聴なのかもしれないから確かではない。
次に黒い小人はおいらの両手を掴んで引っ張る。その小さな体で。その貧弱そうな体で。まるで大きなカブを引っこ抜くおじいさんのように。当然、この場にはおじいさんを手伝うおばあさんも、孫も、犬も、ネズミもいない。それでもおじいさんは引っ張る。咳をしながら、息を荒げながら、それでも一生懸命に。
おいらの体はベットから落ち、少しずつ、少しずつと部屋の出入り口へ運ばれていった。部屋を換気され、おいら自身も部屋から出たとなると、目や鼻にこびりついた痛みは引かずとも、その他の痛みに関しては大分楽になる。生きているのに、楽になる。生きているのに。死ぬより、気持ち良い。
「……ひっく……、うぅっ……、いっ」
涙が溢れて来た。有毒ガスによる涙を押し退けるように、涙腺の奥底から自然な涙がドクドクと。嬉しさやら、悲しさやら、そんな色んな感情が詰まった涙がたくさん。
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