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一哉が引き摺っているのは、自ら望んだ枷。
ボロボロの着物のような、
月のない夜のような、
巨大で、
深淵な、
途方もない影。
けれどその正体は、
たった一人の少女。
一哉より少しだけ、
背丈の低い、
少しだけ、
幼い、
美しい少女。
そんな愛しい面影はいつしか巨大な闇の塊となり、
四六時中、雁字搦め。
でもやはりそれは、一哉の望んだ結末。
雨は止み、晴れた空。
けれど、病まぬ雨に腫れた心。
そしてこれは、
醒めた夢の続き………。
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