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「夜食作って」
唐突だった。
溜まっていた推理小説を読み倒していたところだったが、いきなり戸を開けてきた彼女が発した言葉の開口一番がこれだった。
季節は初秋。
近年深刻化してきている狂ったような暑さも少し身を潜め、正に読書の季節といったところ。
しかし彼女にしてみれば食欲の秋とも言えなくもないようだ。
「あの……なんで?」
「……あんたバカァ?お腹減ったからに決まってんじゃん」
壁掛けの時計をちらと見ると、短い針はちょうど2のところを指している。
もうこんな時間か、と言うのが正直な感想だが彼女に応答するほうが先だった。
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