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「でも、夜遅くに食べると太っちゃうんじゃなかったの?」
彼は素直に思った事を伝えた。
何故なら彼女がその話題に関しては人一倍に敏感になっているからだ。
つい先日も、風呂上がりに乗った体重計の数値のおかげで大騒ぎになったという前列がある。
彼の気遣いが気に触ったのか、彼女はじとっと蔑むような眼で睨み付ける。
「デリカシーないわね……あんたが太らないようなの作ってよ」
「えー……うーん」
シンジ自身も確かに小腹は空いていたが、もう寝ようと思っていた手前何の準備もない。
だがこのまま彼女に不機嫌でいられるのもそれはそれで困るのだ。
自らの身体の保証の為にも。
「わかった。その代わり台所に何もなくても怒らないでよ?」
「……うん」
彼女は軽く返事をするとそそくさとドアを閉めて行ってしまった。
やれやれと思いつつも小説に栞をはさみ、彼は台所に向かった。
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