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それから二人でなんとなくのんびり、少しのうどんを時間をかけて味わった。
満天の星空に、ぬるい夏の風の面影のない爽やかな秋風。
「こういうのって言うものじゃないんだろうけど……その……いいムードよね」
あと数本のうどんを箸で掴みながら言う彼女の頬は夜桜に見えなくもない。
「そ、そうかな……」
「そうよ、バカシンジ……ごちそうさま」
うどんを完食したアスカはさっさとベランダから退散してどんぶりを流しに置く。
ちょっと経ってからシンジも食べ終えて、二人分の食器と鍋を洗う。
窓を閉め、カーテンを閉め。
「もういい?電気消すわよ」
「うん、終わったよ。ありがとう」
ぱちっ。
電気が消えると二人の空間は、再び夜の闇へと戻った。
「じゃ、おやすみ」
「うん、おやすみアスカ」
「ありがとね、おいしかったわ」
その言葉を最後に自分の部屋に戻るアスカ。
シンジも部屋に戻り、すぐに毛布にくるまる。
自分の顔が満たされたお腹が同じくらい熱いのが、眼を閉じるとよくわかった。
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