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玄関扉が開くと、1分もしないうちに、空の部屋の鍵が開いた。
空は慌てて出てくる
指示を言われる前に出ないと
殴られるからだ。
「洗濯して。夜ご飯」
そう母親は二言いうと、
ソファーにどっかりと座った。
「わかりました」
空は小さく答えると
洗濯機に向かった。
早足で、素早く。
洗濯物を回している間に、
部屋の掃除をする。
動かずに止まっていると、
足を縛られるからだ。
そうなると、あとが面倒くさい。
(…吐きそう)
空腹で働いていると
不意に空の体調が崩れた。
今にも座り込みたい衝動にかられる。
体が崩れそうだった。
思わず立ちすくむ。
それを母親が見逃さなかった。
「気持ちわるいの?吐くの?」
優しい口調で言いながら、
空の髪を掴んだ。
「あ……」
空の顔が上を向く。
「吐くなよくそガキ」
そう冷たく言うと、
空を突き飛ばした。
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