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それを受けとると空はわずかに安堵の表情をした。
それから父親の手を拭き、顔を拭き、全身を拭いていく。
隠れた部位まできれいに拭かなければ
父親は酷いことをする。
それをよく理解していたからその手には抜かりなかった。
「おかえりなさい。パパ。
全部終わりました」
そういうと、空はその目の前に立った。
「飯」
父親は特に何を言うでもなくそれだけを言うと、自室に帰っていく。
「はい」
父親が部屋に戻るのを確認して
その脱いだ服を集めると
洗濯機に入れる。
「洗剤洗いに間に合った…」
少し嬉しそうに呟くと
空は食事の続きを作り始めた。
味付けは父親の好みにしてある。
盛り付けは母親の好み。
そうしなければ
父親にとても辛いことをさせられることを
空は学習したからだ。
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