盗撮と恋文

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―2009年7月27日(月) ―12:35 真悟のクラス 世間ではすでに夏休み…しかし、天文学園は週末まである。 なぜかというと…事件が相次いで起きたために授業が遅れたから。 その分を補わないといけない。 「あ~、早く夏休みになれー!」 「何回目よ」 「週末までの辛抱だよ」 「だって、ありえないよ! 事件が続いたのはオレたちのせいじゃないのに!理不尽だよ… ねぇ、真悟もそう思うでしょ?」 「……ん?あぁ、そうだな」 そんなことより気になるのは… 「海王くんのこと考えたの?」 幸人くんにはお見通し…か。 「……海王がどうしてあんな風になったのか気になって…ね」 冷静になってみると海王があんな風になったのには何かしら理由があるに違いないんだけど… その理由がいまだに分からない。 『――DJモッチーの昼ドキッ!ラジオ~今日も始まるよ~♪』 「あ~モッチーの声、癒される」 スピーカーから可愛らしく元気なアニメ声が聴こえてきた。 『――はい!じゃあ今日も元気に生放送でお送りしまーす!』 謎のDJ・モッチー。 この学園の生徒であること以外、詳しいプロフィールが明かされていないまさしく謎のアイドル。 いつも元気で明るく昼の校内放送ラジオの司会をこなしている。 その声に癒されて熱狂的なファンクラブまで存在してるらしい。 「モッチーって誰なのかしら」 「たしか…天文学園の生徒だっていうのは間違いないんだよね」 「モッチーはアイドルだよ!」 「うわっ!?恵比寿…」 「モッチーサイコーだよ~」 ハァハァ言いながら近づいてきたやわらかい笑顔が眩しい男は… 映画研究部所属の恵比寿啓明。 いかにもオタクという感じだが、明るくてそこそこ人気がある。 引きこもりというわけじゃない。 「あ~っ!是非ともこのカメラにモッチーの姿をおさめたい! そして、僕のコレクションに…」 「キモオタが何か言ってら」 「やめろよ、茂手木」 「ホントのことじゃね?」 茂手木逞…軟派な性格で自他共に認める女好きとしても有名で、 二股三股は当たり前らしい。 「そういうこと言うなよ~」 高橋大…茂手木と同じバスケ部に所属しているエース選手。 よく土手をランニングしてる姿を見かける。努力家なんだな。 「ごめんな、恵比寿」 「別に…気にしてないよ」 恵比寿はにこやかに笑った。
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