盗撮と恋文

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その後、すぐ生徒会室に呼ばれていつものごとく生徒会室へ。 「――盗撮…ですか」 「そう、盗撮です」 「最近、複数の女子生徒から被害届が生徒会に寄せられてまして…生徒会だけでは手が足りず…」 「おれたちに手伝え、と? このくそ忙しい夏休み前に?」 おれは嫌味たっぷりの笑顔で言い放ったが神矢には通じない。 「まぁまぁ、そう言わずに。何も手がかりがないわけではないのでそう時間はかかりませんよ」 「手がかりあるんですか?」 「生徒会のネットワークを使って様々なサイトを捜索しましたが…犯人は撮影した映像を掲載してはいないようなのです。 つまり、犯人はあくまで撮影した映像を自分で楽しむために盗撮をしていると考えるべきです。 犯人はこの学園の生徒及び教師の中にいるはずなのですが… さすがにひとりひとりを調べると言うわけにはいきませんねぇ…」 「つまり、その役目をおれたちにやれって言いたいんだろ?」 「理解が早くて助かります」 まったく心が篭ってない笑顔だ。 「これがプール脇の女子更衣室に仕掛けられていたカメラです」 「回収してたのかよ!?」 「水泳部はこの夏休みに記録会が控えていて今は大事な時期… 余計な負担を与えてしまい、もし記録が伸び悩むことがあれば、 来年度の入学希望者が減るという可能性もなきにしもあらず。 出来れば…夏休みになる今週の末までに解決したいと思います。 なので、ご協力お願いしますね」 「はいはい」 しかし…引っ掛かるな。 このカメラ…どう考えても盗撮に向いているとは思えない。 これじゃ「見つけてください」と言ってるようなものじゃないか。 「それと…実はもう1つ水泳部の依頼があるのですが――…」 何故か神矢は顔を赤らめている。 「何だよ、気味悪いな」 「盗難事件が起きたそうです」 「盗難…?水泳部の使う更衣室でいったい何を盗むって…」 いや…待てよ。もし、犯人が盗撮犯と同一人物だったとしたら… 変態的趣向があったとしても… 「まさか…!?」 「その…下着が盗まれたそうで…時には水着も盗まれていると…」 「マジかよ…」 本当にそんな犯人がいるのか。 「いったいどんなやつなんだ…」 その犯人の顔が見てみたい。 そう思ったのは初めてかもな。
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