始まり

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「お姉ちゃん。」 イーディスの声が響いている。 「アリスお姉ちゃん。」 なぁに?イーディス。 声をかけても上の空の彼女は、ふと空を見上げた。 「どうして私の国じゃあないのかしら?」 イーディスが何を言っているのか分からない。 どうしたの、イーディス。 「お姉ちゃんがいなくなれば、不思議の国は私のものになるのよね。」 にこりと笑むイーディスの傍らに居座っているのは、私を嘲り嗤うチェシャ猫。 「そうだよ、僕らのアリスさえいなくなればこの国は君、イーディス・リデルのものだよ。」 私から不思議の国を奪う? イーディス、あなたは本気なの? 猫に騙されているのではないの? 「耳を塞いで、私のアリス。」 冷たい手が私の耳を塞ぐ。優しい感度に胸が和らぐ。 帽子屋がいう。 。 「何があっても私は君の味方だから。」 「…貴方が味方だなんで冗談。貴方はキチガイだもの。」
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