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急に話を振られレニは
俺は…
とだけ小さく呟くとやがて心を決めたように顔を上げ、
深く頭を垂れた。
「俺を…ジルさんと組ませては頂けないでしょうか。」
「…!!」
シフが一瞬息を呑んだのが分かった。
長い沈黙の中シフは低い声でレニに語りかけた。
「…あいつの噂を知らないわけじゃ無いだろう?」
「はい…ここに来る間にアイから聞きました。彼女がもうずっとパートナーを作るのを拒んでいること。
彼女と過去に組んだ者が亡くなり“彼女と組んだ者は呪われる。必ず死ぬ”という噂が広まっていると言うことも。」
ぎゅ、とシフが拳を固く握り更に表情が険しくなる。
先ほどの表情の時とは明らかに違う空気が部屋を支配する。
「…知った上で奴と組むのか?」
「はい。」
「何故…-」
「…おかしい、じゃないですか…」
自身から出た声は異様なほどに澄み渡っていた。
喉が誰かに絞められているように息苦しい。
どうしてこんなにも息苦しい…?
レニは拳を握りしめた。
「余計な詮索かもしれません。…でも…!パートナーを失った彼女が一人で全てを背負ってふさぎ込むなんて…おかしいじゃないですか…!。」
「…!」
「だから俺が、証明したいんです…そんな事無いって言い切れるように。」
レニの一言にアイの瞳が揺れた。
彼女の腕に爪が強く食い込んで行く。
口を開いた瞬間のアイの表情があの時の表情と重なった。
「…レニ君なら…あの子を…ジルを助けられるかな……」
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