【LIVE】

3/5
前へ
/298ページ
次へ
いつものカウンターに腰を下ろすと、裕子さんは何も聞かずにカクテルを作り始める。 その鮮やかな手つきを眺める私に、まるで「これでしょ?」とでも言うように裕子さんはクスッと笑った。 大好きな優しい笑顔。 最高に居心地がいい。 小さく頷きながら上着を脱ぐと、それがゆっくりと私の手から離れた。 「…シュン君。」 「いらっしゃい。」 奮発して買ったリアルファーの付いたコートをハンガーに掛けながら、シュン君は笑う。 いつ見ても可愛い男の子。 「ありがと。」 「美穂さん、今日も綺麗。」 そして口も上手い。 彼は、この店の女主人である裕子さんの甥っ子らしく、よく手伝いに来ていた。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

177人が本棚に入れています
本棚に追加