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「ところで、所長は体内時計って、ご存知ですか?」
「あぁ、何回か耳にしたことはあるが、それがどうかしたのかい?」
唐突な質問に、驚いた表情で答えた。
若い男は、少し前屈みになり、再び口を開ける。
「体内時計の研究により、時間帯によって、発症しやすい病気があることなどが分かってきました」
「ほう・・・」
「体内時計は、ひとつではなく、体内のいろんな場所に存在しているようで、その大元の時計が、この中にあります」
そう言うと、右手の人差し指を額に当てた。
「とても、興味深い話だが、それがどうかしたのかい?」
更に続けた。
「もしかしたら、銀河や宇宙にも時計のようなものがあって、例えば、銀河時計・・」
中年の男は立ち上がり、彼の左肩を、"ぽんぽん" と叩いた。
「飲んでもないのに、随分と空想的じゃないか。
まぁ、1回目の結婚記念日の夜ともなれば、誰だって、多少は、ロマンチックな気分になるよな」
中年の男は、にやつきながら話した。
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