◆プロローグ◆

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  「ところで、所長は体内時計って、ご存知ですか?」 「あぁ、何回か耳にしたことはあるが、それがどうかしたのかい?」   唐突な質問に、驚いた表情で答えた。  若い男は、少し前屈みになり、再び口を開ける。 「体内時計の研究により、時間帯によって、発症しやすい病気があることなどが分かってきました」 「ほう・・・」 「体内時計は、ひとつではなく、体内のいろんな場所に存在しているようで、その大元の時計が、この中にあります」  そう言うと、右手の人差し指を額に当てた。 「とても、興味深い話だが、それがどうかしたのかい?」  更に続けた。 「もしかしたら、銀河や宇宙にも時計のようなものがあって、例えば、銀河時計・・」  中年の男は立ち上がり、彼の左肩を、"ぽんぽん" と叩いた。 「飲んでもないのに、随分と空想的じゃないか。  まぁ、1回目の結婚記念日の夜ともなれば、誰だって、多少は、ロマンチックな気分になるよな」  中年の男は、にやつきながら話した。
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