【始まる物語…】

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周りをゆっくりと見渡しつつ 中へ足を進めていれば やはり此処は【平成】では ないのだと思い知らされる。 「あれ?総司じゃん。…何その子?勝手に連れてきたら土方さんに怒鳴られるんじゃない?」 廊下に足を踏み入れれば ぎしりと音が鳴り 落ち着く雰囲気でそっと胸を 撫で下ろしていれば 元気な、同い年くらいの 少年の声が聞こえてくる。 そしてその少年を見て また私は気付いてしまう。 【藤堂平助】なのだと… 勉強が好きではない私でも 歴史だけは好んでいた為に 少しは把握でき、安心していた。 「大丈夫だよ。この子は記憶喪失で帰る所も解らない可哀想な女の子だから。 土方さんも女の子に弱いし…」 「あ、の…初めまして!春山桜子と言います。」 沖田は【可哀想な】を強調した 為にむっとしてしまうが まぁ、可哀想と言えば 可哀想なのだろう。 実際、突然こんな幕末になんて 来てしまったのだから…― 「桜、子ね…あ、俺は藤堂平助。よろしくなっ!」 こちらを見て少し赤くなる 藤堂に思わず首を傾げるが 明るい太陽の様な笑顔に 思わずこちらも微笑んでしまう。 この人とは仲良くできそう…― 何故だかそう思ってしまった。
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