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そうして今私は右手に
銀色にキラキラ輝く包丁を持ち
その刃先を心臓辺りに
向けている。
その姿を見詰めて
焦りや同様を隠せない母親が
冷や汗をだらだらと流し
止めようとしている。
「どうして止めるの…―?
貴方に関係ないじゃない…
今さら母親面しないでよ」
そんな母親が可笑しくて
クスリと乾いた笑みを浮かべる
「私が、悪かったわ…
だから桜子ちゃんお願いだから止めて頂戴!!
私が憎いなら私を刺せばいいから…ね?」
この人は娘に殺人者になれ、と
そう言っているのだろうか…
相変わらず薄情な母親だ。
でも、もういい。
母親がそれを望むならば……
母親を刺して私も後を追う。
傑作じゃないか
憎しみを晴らして
自分も逝けるのだから…
「わかったわ…、さよなら
貴方を刺して私も逝くわ……」
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