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「あ、公園や。うわ懐かしー…。」
「よく遊んだ?」
「遊んだ気ィするなぁ。そうそう、向かいの家の窓からよくでっかい犬が覗いてたな。」
「…犬、を、覗いてたんじゃなくて?」
「犬、が、覗いてた。窓から顔出してこっち見てた。」
「へ~。」
薬屋さんの角からひたすら真っ直ぐ。
あれも懐かしい、
これも懐かしい。
ヒロさんは1つ1つ、ちょっと興奮気味にあたしに教えてくれる。
それはあたしにとっては新しい事ばかりだから、何を見ても楽しいし、ヒロさんの話だってもっと聞きたいんだけど…
正直あたしは、内心、お泊まり、の事でパニックになっていた。
…。
いやいやいやいやだってさ!実家だよ!?実家って!!た、確か妹さんが居るはずだし…何よりご両親がいらっしゃいまくりますよね!?
ヤバい。あたしヤバい。
何も持ってきてない。
お土産の1つくらい持って行くべきだよね?
…って、着替えのパンツすら無いよ。
…。
いや!パンツはこの際我慢しよう!仕方がない!大丈夫!死なない死なない!
問題は手土産だ。
手土産ねぇ…
…お土産…お菓子…駄菓子屋さん…あ、開いてないのか…つかご両親へのお土産で駄菓子って…ないないない…
…あられ…あられ工場…いやいや地元だから意味無いし…
…そういやさっきのヒロさんの「あられ好き?」質問なんだったんだろ?
今夜はあられ祭り?
いや、あられ嫌いじゃないけどさ…
だからと言って何よりも好きか?と聞かれたらそうでもないし…
ご両親からもの凄いあられ勧められたらどうしよう…
いや、食べるけど…それでも限度ってものが…
「ジュン子って!」
「ぅわあうっ!!」
「何ボケッとしとんねん!」
「え?!え?!」
「右に曲がるゆーとんねん!聞いてなかったん?!」
「…いや、ちょっと、あられ…じゃなくて!えっと…パンツ…じゃなくて!ちょっと、考え事を…。」
「パンツ?…あぁ、着替え?あとでイズミヤ行ったるやん。」
「…イズミヤ?」
「まぁ、ちょっとおっきいスーパー的な?じゃ、右曲がるで。」
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