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「おぉ!鳥居だ!ホライ神社?」
「ホイカツチ神社。」
「ほ…いか?」
「稲穂の穂、雷をイカツチって読む。で、穂雷神社。」
「ホライ神社じゃないんだ。」
「なんか、ちゃうみたい。俺も初めそうやと思ってた。」
ヒロさんに促されるままに道を右に曲がれば、すぐに大きな鳥居が目に入ってきた。
道はさっきよりも大きくなり、ぐうっと左に曲がっている。その曲がった道に横付けるようにして石垣と石の階段が見えた。あの先が境内だろう。道は神社の境内に沿うように巻かれて、鬱蒼とした木々の先へ消えていた。
鳥居の前には縦長の大きな石が建っていて『穂雷神社』と彫ってあった。
「もしかして、おっきい神社なんじゃないの?」
「いや全然。めっちゃ狭いし。多分、無人やし。」
「神主さんは?」
「普段は居らんのちゃう?この村の神社やから、多分老人会とか婦人会とか…その辺が世話しとるんちゃうかなぁ?」
「ヒロさんは何か入ってないの?」
「ん~~~~青年団があるけど…強制やないし…俺は今ここに住んでないしなぁ…。」
「そっかぁ。青年団って何するの?」
「よぉ知らんけど、秋になったらだんじりが出るで?それは青年団が中心になって準備するハズやわ。」
「…だんじりって…おみこしとどう違うんだろ?」
「知らーん。だんじりは中に太鼓と鐘を叩く人が乗って、更に上に調子を取る人が3人乗って…男が…6、7人で動かすかなぁ?…あと前に綱が伸びてて、子供らがそれ引っ張るねん。昔はよぉマジになって引っ張っとったなぁ。」
「何か楽しそう!」
「ジュン子祭り好きそうやもんな。掛け声は『チョウサヤ!』やから。」
「ちょうさや?」
「調べる、調査する、の、調査、や。」
「嘘くさっ!!」
「いやホンマやて!じぃちゃんが言っとったし!『調~査や!調~査や!』つってだんじりを村中回すねん。」
「調査って、何の調査?」
「だんじりには神様が乗っとって、その神様が年に一度、村の人間がどんな生活しとるか調査するから『調査や!』ってゆーらしい。」
「成る程~なんか面白~。」
「他の地域の事は知らんけど、この辺はそんな感じ。あ、階段、苔生えてるから気ぃつけや?」
「お、はいはい。」
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