2人でスローダンスを

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「あ、なんだ。意外に広いじゃん。」 「そぉかぁ?」 「もっと狭いかと思った!」 「そう?」 短い階段を上がりきったら、さっぱりとした境内に出た。正面に社があって、入り口の左右には立派な狛犬が2匹、阿吽、並んでいた。 「狛犬、苔生えてるよ?」 「知らんがな。中入んで。」 敷居を跨いで中にお邪魔すれば、左右に高い床がある。ちょこっと梯子みたいな階段がついていた。 「何この板間?」 「さぁ?でも秋になれば巫女さんがいてシャンシャンしてもらえんで?」 「シャンシャンって?」 「鈴をこう、頭の上でシャンシャンって。まぁ厄払いやな。」 「巫女さんって、普段何やってるの?」 「普段は普通に小学生やってると思うで?」 「…え?小学生?」 「うん。巫女さんは、この神社の氏子がやる。大体、小6か小5の女の子かな?」 「うじこ?」 「おう。この辺りで生まれた子供はみんなこの神社の氏子や。」 「ヒロさんも?」 「勿論。ほら、上。」 「上?」 「この部屋の周りにぐるっと絵馬あるやん?」 「お~カラフル~。」 「あの絵馬。」 「どれ?」 「あっちの壁の左から2枚目、俺の名前あんの見える?」 「おお!ホントだ!何で!?」 「この絵馬、去年生まれた子供の名前が書かれてあんねん。新しい氏子の名前を、氏神様に報告しとるってわけ。だから、あの絵馬は俺が生まれた次の年のやつやねん。この辺に生まれたからには、みんなここの氏神様の氏子って事になるねん。」 「そぉなんだ!今年のは?」 「新しいのんは正面に飾られるんやけど…」 「…あれ?年号が去年のままだけど?」 「…まぁ、つまり、去年、村で子供が生まれなかったって事やなぁ。」 「あぁ…そうかぁ。」 「年々やっぱり減ってるみたいやなぁ…。まぁ、田舎やからなぁ…。」 「そっか…ちょっと寂しいね。」 「まぁな。しゃーない。…さて、氏神様にお詣りしよか。」 「はぁい。何お願いしよう?」 「七夕ちゃうねん。自分の決意とか目標を誓えや。」 「うぅ…目標かぁ…。」 「とりあえず、今年は部屋を綺麗に保ちますってゆーとけ。」 「…う゛。」 「それか、俺より料理上手くなるよう練習します、やな。」 「いやぁ…レベル高いなぁ。」
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