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どうにかしなければならない。
だが、どうすればいいのか判らない。
自分が追い詰められていることに、田村は気が付いていた。
田村の基本的な知的能力は高いものがあったが、他人との煩わしい関係が好きではなかった彼には、こんな時に頼るべき友人がいなかった。
両親とは、学生時代のいざこざが原因で縁遠くなっており、いまさら頭を下げに行くのは願い下げだった。
どうにかして仕事にありつくしかない。
田村は結局、いつものように職安に向かって歩き始めた。
金が無いという現実が、重くのしかかっていた。
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