プロローグ

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6月 13日 16時26分。 図書室にて。 俺、櫻井 治樹(はるき)の場合。 「ねぇ…、これって…、別れ話みたいに…、なってない?」 「うん。てか、俺は最初からそのつもりだけど?」 「…え?」 何をそんなに驚く必要がある。 これだから鈍感な女はイヤだ。 前々から伏線は張っていたのに。 というより、お前に気をつかってわざわざ遠回しに気がないことをアピールし続けていたろうが。 あげく、直球に話してみればこれだ。 こっちはさっさと別れるために切り出したのに。 「だーかーら。これは別れ話。俺らはおしまい。わかる?」 「そ、そんな言い方って…。」 他にどんな言い方がある。 これがお前に気をつかった俺の精一杯だ。 「…?」 「…」 「…はぁ。」 出た。 すぐこれだ。 あきれるね。 こっちは親切に別れようって言ってるだけなのに。 これだからすぐ泣き出す女はイヤだ。 でも…。 それもこれも全部。 好きでもないのにOK出した俺のせいだよな…。 今日。俺、櫻井 治樹は、半年間付き合っていた彼女をフった。
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