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91110「?」
塔子「貴方は迅雷の能力者。人口ヒーロー第一号なの」
91110には何を言われているかサッパリ分からなかったが、塔子はお構いなしに跳び跳ねる。
塔子「戦場をまわって孤児や負傷した兵士を集めて良かったわ。人口が極端に減った日本でこれだけ被検体を集めた甲斐があったわ!」
塔子は91110の手を取ると、無理矢理起こし、引っ張った。
塔子「人口ヒーローのデータを取りたいから、ちょっと来て頂戴」
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塔子「これで全員ね」
塔子の研究室には、91110の他に見たところ同年代の少年が二人と少女が二人、集められていた。
一人の少年は細目でやや華奢な体格。
二人目の少年は戦争に巻き込まれたのであろう、両手がなかった。
一人の少女は赤髪で、少し釣り目がち。
もう一人の少女は逆に蒼髪で、優しい瞳。
塔子「じゃあ、私に着いて来て」
暗い廊下を91110達は歩く。
向かう途中、突然塔子のポケットからヴー、ヴーと音がなった。
細く長い廊下にその音響が響き、塔子は足を止めてポケットから携帯を取り出した。
塔子「はい、もしもし…?あ、片霧様!い、いかがなさいましたか?…はい、例の実験は成功し…はい、お褒め頂き有り難うございます!」
塔子は電話しながら頭を下げる。
この行為は日本人特有なのであるが、塔子は根っからの日本人ではない。
91110達にはどうでもよいことだったが。
91110達はそんな塔子の背中を見つめる。
塔子「…なので、今から数回の実験をし、…え…!そ、そんな急に!?まだ実験も…しかし…。…分かりました。それでは失礼します…」
塔子のテンションは次第に下がっていった。
塔子「…片霧様からの命(めい)ならば仕方ない…」
塔子は何やら呟きながら携帯をしまうと、
塔子「少しバックよ。そこ、右にまがって」
その先にあったのは--独房。
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