prolog.

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――――――"アリス"。 君はアリス。可愛いアリス。小さなアリスは優しいアリス。僕らに笑いかけてくれる。 ねぇアリス。君は幸せかい?君が幸せなら、僕らも幸せだよ。 「……幸せ…」 ふふっ、と笑う。 「ボクも幸せだよ」 明るい声が聞こえる。 「…………え?」 眩しい光が差す中、薄く目を開く。 すぐ近くに、淡い紫色。 「チェシャ猫…?」 ぼんやりした頭で名前を呼ぶ。 「そうだよ」 ふわりと頭を撫でられる。 「ちょっ、え、うわあっ!?」 慌てて布団に潜り込む。 「寝ぼけてるんだね」 クスクスと笑うチェシャ猫。 「違うよ…」 鼻から上を布団から出す。 「おはよう」 チェシャ猫は悪戯な笑みを浮かべている。 「…おはよ」 まだ心臓がバクバク言ってる。 「アリス、こっち見て」 私はチェシャ猫を見る。 ――――――ちゅ。 頬にキスが落ちた。 「…うー…」 顔が 熱い。 そう。こうやってチェシャ猫は、毎日私にキスしてくるのだ。嬉しいんだけど…恥ずかしい。 「…そろそろマイルが起きる頃だね」 やんわりとチェシャ猫が笑う。 「うん」 私が欠伸をしていると、チェシャ猫がじーっと見てきた。 「な、何?」 パジャマ姿の私は、チェシャ猫から目を反らす。 「変わらないね」 チェシャ猫は私を見て言う。 「何が?」 何の事だろう。
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