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「おかしーな、なんでそれを今俺が手伝ってるのかなぁ?」
わざとらしくぼやいてみる。これで少しは……
ギクッギクッ
「本当は俺、帰ってのんびりしたいのにな~。」
向かいの席の美咲は意気消沈し、頬を赤く染め俯いている。
「あー今日は時間もたっぷりあったから────って美咲?泣いてる!?」
途中から少しやり過ぎかな~とは思ってはいたが、まさか泣くとは……。俺は椅子を引き席をたち、肩を震わせている美咲に近寄った。
後ろから覗き込もうとした途端─────
「このバカモノッ!!」
首に手が回り、あっという間に後ろをとられた。背中に柔らかい感触が……ってそんなことを気にしてる場合じゃないとか思いながらちょっと嬉しかったりいやいやそんなこと考えてどうする……。
「やはりお前は甘いな。天津甘栗のように甘いな。」
「そんなに甘いか俺?てか、泣いてなかったのかよ!?」
子供なように顔をほころばせ、美咲は笑った。
「私があんな些細なことで泣くと思うか?」
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