1/3
前へ
/9ページ
次へ

築20年の赤茶色のアパート。 よく錆びた階段を登り終え、すぐ目に飛び込む202号と刻印されている深緑の扉。 丁寧とは言えないまでも、扉の開閉を邪魔しないように立て掛けてある2本の透明ビニール傘が脇に並ぶ。 扉の真下のコンクリートにはほんのり罅(ひび)がはいってある。 その罅が導くように扉の奥、長方形に広がる部屋が僕らの住処である。  
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加