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どうも初めまして、小鳥遊和也です。
僕も遂に受験生の高校三年になりました。
でも、僕の頭じゃ大学は多分落ちる。なんと言っても成績が平均48点という赤点ギリギリだからだ。
まぁ、僕の目指す夢に成績なんてほとんど関係無いけどね。
今日は入学式。くじ引きでクラス代表を引いてしまったんだから仕方がない。本来なら土曜日のお休みなのに、学校に向かっている。
桜の木がゲートを形成するかのように学校へ続く坂を桜色に彩っている。綺麗なのは認めるけど、やっぱり坂を登るはめんどくさい。まぁ、二年も通えば慣れたものだけれど。
「うん、フラグの臭いがするね」
坂の下で、1人の女子生徒がそうつぶやいた。
うん、すごく同類の臭いがするけれど、関わるとロクなことにならないのはよく分かっている。これはフラグだから。絶対に関わるべからず……
でも、やっぱり気になるのも事実。横を通り過ぎるときにチラッと横目で見てしまう。これは単なる条件反射。決してフラグを立てた訳じゃない。
「ふへぇ……」
僕は一瞬彼女に釘付けになってしまったが、すぐさま視界を前に戻す。
胸のリボンが赤色だから新入生。そのきらきらした瞳はこれからの高校生活に何らかの期待を持っている瞳だ。
かなり良いプロポーショナルをしていて、出るところは出ているから、すれ違う男子の十人に九人は振り向いてしまうだろう。
三次元に興味が無くなった僕でさえつい釘付けになってしまった。まぁ、僕には関係無いけれ……
「あの、先輩?」
「……」
「ちょっと無視しないでくださいよ」
「あっ、やっぱり僕を呼んだんだ」
まるで昨日やったギャルゲーの冒頭みたいだ。ヒロインの性格は全然違うみたいだけど。
「良かったら入学式のやる体育館まで案内してくれませんか?」
「案内……大丈夫だよ。うちはそんなに広くないし、校門をくぐってすぐ右手に見えるからまず迷子にならないし」
とりあえず、普通に返してみる。ちょっと彼女の笑顔がまぶしいが、多分これが普通の解答のハズ。
「そうですか。それじゃあ校門までご一緒しましょう!」
「あれ?フラグを折ったよね僕?」
何故かな?彼女と一緒に校門までの坂を登ることになってしまったぞ?
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