一章

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この自分勝手な少女を許すほど青年は優しくはない。再びミーファに襲いかかろうとしたが兵の一人が二人の間を遮った。 くそ。心の中で悪態をつく。兵は防具を装備している。普通に拳で殴っては青年の拳がもたない。 そのため自分とミーファを遮った兵に向かって、肩を丸めて肩から突進する。 兵は青年の突進を喰らうと数メートル吹っ飛んだ。兵が飛んだ姿をみて、青年は一瞬惚けた。 (いくらこいつらが弱くてもこの力は異常だぞ。確かにさっきから体がとても軽く感じるけど......。異世界の人の体が弱いのか、それとも俺がパワーアップしたのか) 自分の体の異変の理由が分からなかったが今はそれどころではない。他の兵は青年はぐるりと囲み、槍を向け威嚇している。 (巫女と同士討ちを狙っていたけどこんなにパワーアップしていたら上手く逃げ切れそうだ。これなら逃げたほうがいいか。巫女よりまずは自分の命だ) まずは逃げることを決めると周りを見回す。出口は二箇所。前方と後方に扉が一つずつ。 そして、自分が召喚されたときアルシア王国を救ってくれと巫女に言われた事を思い出した。 王国ということはここは城のどこかなのだろうか。それとも別のところか。青年には分からなかったが、すぐ逃げるべきということだけは分かった。この場以外にも兵がいるに違いない。
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