一章

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いくら身体能力が上昇しているにせよこれ以上の兵を相手にする訳にはいかない。 青年は足に軽く力を込め地をけった。青年はとくべつ力を込めた訳ではなかったが、体は中を舞い、兵の頭上を超えて着地した。 その場にいた兵たちは青年が助走もつけずに自分達の頭上を跳んだことに数瞬の間、呆然とした。 普通の人間にこれほどの跳躍力はない。 青年自信も自分の力にいくらか驚いたが、すぐに扉の方へ走りだした。 「早く追いなさい!」 ミーファが声を荒げた。しかし、青年の走るスピードは凄まじく、甲冑を着る兵が追いつけるはずがない。 兵が慌てて走りだしたが青年は既に扉を蹴破り、この部屋から去っている。 ミーファは魔法を使おうとしたが、先ほど異世界から青年を召喚したばかりである。 魔法を使えるほどの魔力は彼女には残っていなかった。 「勇者が逃げだしたわ!速くこのことを城にいる者に伝えて探しだして!」
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