116人が本棚に入れています
本棚に追加
「疲れた」
そう言って青年は背を伸ばした。学校の帰り道だろうか学ランを着ており、スクールバッグを担いでいる。
「帰ったら寝ようかな」
誰に言う訳でもなくただ一人呟く。それに続いて思わず、はあ、と息が漏れた。
帰ったら父親と母親が待っている。両親は仲が悪く、喧嘩も多い。
口喧嘩ならまだ堪えられるが物の壊れる音などを聞くのは嫌だった。
早く別れれば良いのに。そう思わずにはいられない。
自然と足取りが重くなる。青年は変化が欲しかった。両親の喧嘩は嫌だったし、毎日学校に行くのも嫌だった。
その日常が覆る変化が欲しいと思う。そんなものはありえないとは分かっているのだが。
しかし、その変化は突然訪れた。
最初のコメントを投稿しよう!