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「あのさ、もうちょっとまともな嘘をついてくれないかな?」
「嘘なんかではありません。この国を救って貰うために異世界から召喚したんです」
青年は一度溜息をつき、口を開く。
「............じゃあ、証拠は? この世界にしかないものを見せてくれよ」
「分かりました。私の右手を良く見ていて下さいね」
ミーファは右手の平を淳平に見せるように広げた。そして、目を閉じ集中する。
すると手が淡く青色に輝き始めた。ーーーーそして、手の上に氷の塊が創り出された。
しかし、その氷の塊は徐々に溶け始め、氷の塊が全て溶けるとミーファの手を火が包んだ。
無から氷へ、氷から火へ。手の平の上で起こる変化を青年は興味深そうに見ていた。
「どうです? 信じていただけましたか?」
これには青年は頷くしかない。
「けど、俺は生憎勇者として頑張る理由はないんでな。悪いが帰らせてくれ」
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